将棋の館−盤上のドラマ−/盤上シアター81/意地に殉じた名人位−信念の男・佐藤康光

意地に殉じた名人位−信念の男・佐藤康光


  第58期名人戦は三年連続のフルセットにもつれ込んだ。先手なら角換り・後手なら85飛戦法−
2大戦法で名人位に挑む挑戦者・丸山忠久に対し、名人・佐藤康光はこれを真向から受けて立った。

 だが・・・彼の対角換りは、少なくても名人戦の舞台では結果を残していなかった。

 第7局−これほど振り駒が注目されたのは、2年前(1998年)の最終局以来(その
シリーズは第6局まで先手番が6連勝)だろう。

 6月26日、記録係の手によって歩が5枚、宙に舞う。”と金”が3枚−丸山の先手で
ある。

 こうなれば丸山が角換りを目指すのは必然。果たして佐藤は・・・

 当然の如く、丸山の初手は▲26歩。そして・・・9分の瞑想から目覚めた佐藤は△84歩!

 しかし、相腰掛銀から丸山猛攻!佐藤陣は、みるみる薄くなっていく・・・

 22時42分、丸山新名人誕生!佐藤は2年続けて保持した名人位を失った。

 それにしても、今シリーズの佐藤の姿勢はどう解釈すればいいのだろう?
やはり”意地”なのか?”信念”か?

 私自身の”邪推”を言わせていただけるなら、佐藤さんは”指せる”と信じていたんだ
と思う。しかし、いくら自分が”指せる”と思っていても、”結果”がでていなくては、
他の指し方を考えるような気もするが・・・

 しかし今シリーズ、彼のこの姿勢が多くの人の胸を打ったのも事実。

 もしかしたら彼の瞳は、名人位より高みを見据えているのかもしれない。

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