将棋の館−盤上のドラマ−/盤上シアター81/十字架を背負った四段−伊奈祐介の試練

十字架を背負った四段−伊奈祐介の試練


  4月25日のHP開設以来、7000を超えるアクセスがありました。ありがとう
ございます。
 相互リンクをさせていただいた皆さんの掲示板をまわっていると、”伊奈四段頑張
れ!”というメッセージをしばしば見かけます。

 伊奈祐介四段−彼は奨励会三段リーグを”次点2回”で卒業した、初の(そして唯一
の)ケースの四段である。通常の四段とどこが違うのか?通常、三段リーグを卒業する
と、順位戦に参加することができる。しかし彼に現在順位戦への参加資格はない。
 彼が順位戦に参加するためには、
  @年間成績が30局以上消化して勝率6割以上(18勝12敗以上の成績ですね。)
  A年間40局以上の対局数
  B良いところどりで(年度をまたがっても可)30局の勝率が6割5分以上
このどれかの条件を満たす必要がある。
 さらに10年たっても、この条件を満たせなかった場合、彼は引退に追い込まれる。
(つまり彼の現在の身分は”フリークラス”の棋士ということになる。)
 
 2度目の”次点”が決まったとき、彼は悩んだに違いない。三段リーグを従前通り
の成績で(1位・2位)で卒業すれば、堂々と順位戦に参加できるし、10年で引退
ということもない。
 ”この権利を放棄して、来期またチャレンジしようか・・・”
 だが来期以降、必ず2位以内になれるという保証はない。そして一度権利を放棄し
てしまうと、”次点2回”という実績も白紙に戻る。文字通り”ゼロからのスタート”
となるのだ。

 話は変わるが、佐藤伸哉が四段になった時、もし彼が次点だったら伊奈さんよりも
先に”次点2回”のケースになるところだった。
 彼は四段昇段のインタビューにも、明るく答えていた。だが聞き手に、
”もし今回次点だったら、次点2回の権利を使いますか?”と質問された時、それま
での明るさから一転して険しい表情となり、絞り出すような声で
”その時になってみないと、わからない。”と答えたそうだ。

 残された時間はまだ8年ある。しかし、若いうちに−あと数年のうちに、達成しな
ければ、何年あってもこの条件のクリアは難しいだろう。
 特に、順位戦に参加せずに年間の対局数30局・40局こなすのは、かなり勝ちこ
まないと不可能な数字だ。
 
 今期全日本トーナメントでは、米長・深浦といった一流どころを破り、次は名人の
佐藤と対戦。実力は着実にアップしていると思う。
 彼の判断が正しいことを、そして彼の挑戦が報われることを祈りたい。

※2001年5月7日、ついに悲願達成!
 竜王戦6組準決勝の勝利で直近30局の勝率が6割5分を突破!
 フリークラスから初の順位戦参加資格獲得!
 おめでとうございます!





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