プロ棋士になるには、まず師匠を決めます。現役・退役どちらでも構わないのです
が、プロ棋士であることが条件です。
師匠が決まったら次は、奨励会というところに入会します。これはようするに、プ
ロになるための”養成機関”というべきところで、全国から”神童”と呼ばれた子供
達が、明日の名人を目指して凌ぎを削ります。
(おっと、奨励会入会には”試験”があるので、まずそれをパスしないとね・・・)
そして、奨励会を勝ち抜き、四段に昇段したものだけが、晴れて”プロ棋士”にな
れるのです。
(プロ将棋界にとって、”三段”と”四段”は大違い。”お茶をいれる人と飲む人”、
”先生と呼ぶ人と呼ばれる人”の違いです。)
なによりも厳しいのは、”年齢制限”。時代によって変わりますが、確か私が知っている
頃は20才までに初段、26才の誕生日までに四段にならないと自動的に”退会”となります。
(間違っていたらごめんなさい。)
今はどうなったんだろう?今は多少救済処置がとられていて、26才を過ぎても、ある一定の
星をあげれば、次回の三段リーグも参加できたはず。
中座真25才(当時)。これが四段へのラストチャンス。
最後の三段リーグ(三段になるとリーグ戦を行い、そこで上位2位の成績をあげた
ものが、四段の切符を手にする。)、ラスト2局を前に彼は四番手に位置していた。
1位から6位までの6人に昇段の可能性が残されていた。
残り2局を連勝し、”人事を尽くして天命を待つ”。
子供の頃から夢見ていたプロ棋士の座を手に入れるためには、とにかく勝つ!
連勝あるのみだ!
−そして最終日−
第1局 中座勝つ。
マジック1だった堀口一史座三段が、自力で昇段を決めた。残る昇級枠は1つ。
競争相手のうち上位二名が敗れ、彼は自力、”マジック1”が点灯していた。
だが・・・
必勝の気迫で臨んだであろう第2局に、彼は敗れる。この時点で彼は順位を4番手にまで下
げた。(競争相手はまだ対局中。)つまり、彼より上位のもの3人が揃って負けないと、彼は
退会となる。
第2局終了後、彼は控室の部屋の隅で膝を抱えて泣いていた。無理もない、子供の
頃からの夢が、プロ棋士への道が、今、閉ざされようとしているのだから・・・
誰も彼のそばには、近づけなかった。
やがて・・・
一人の人が恐る恐る彼のそばに近づいていった。そして言った。
”おめでとう!”
一瞬キョトンとした中座だが、やがてその意味がわかるともう一度泣き出した。
そう、”奇跡”は起こったのだ!
※・・・升田幸三賞受賞、おめでとうございます!
※・・・この話は、どうも”エピソード”ようで、事実は違うようですね。
奨励会を去ることを覚悟して、靴箱に手をかけたとき、奨励会員の一人が”まだ可能性がある”
と伝え(彼は競争相手の一人が負けていたことを知らなかった)、帰るのをやめ廊下で
うろうろしながら、結果を待っていた。
そこへ一人の奨励会員が駆け寄ってきて、
”おめでとう!”と彼の昇段を伝えてくれた。
”退会覚悟”→”昇段”・・・あまりの辞退の急変に彼は思わず、へなへなとその場にへたり
こんでしまったそうです。
奨励会幹事への報告。
”おめでとう”の一言に、涙があふれて止まらなかったという・・・