第9期竜王戦7番勝負第2局-VS羽生戦

TANIGAWA

1996年羽生7冠が誕生した。失意に沈む谷川に、一つの転機が訪れる。 天童の将棋大会の審判長として出席した谷川は、子供達の笑顔に心あらわれる。 ”そうだ!将棋って本当は楽しんで指すものなんだ!” 肩の力が抜けた谷川は、快進撃を開始。竜王戦の挑戦権を獲得した。 上図は羽生先勝でむかえた第2局

上図以下△77桂▲59飛△63飛▲54角△68角▲58飛△89桂成▲同玉△76歩 ▲68飛△同飛成▲同金△77銀▲63飛△88飛▲79玉△68飛成▲同飛成△同銀不成 ▲同玉△38飛▲67玉△77金▲66玉△68飛成▲75玉△63桂まで、谷川勝ち

△77桂が絶妙手!▲同桂なら△63飛▲同飛成△76歩が桂にあたる。▲54角に対する △68角も妙手!最後は△76歩で、谷川の勝ちがはっきりした。 この1局を制した谷川は波に乗り、4-1で羽生から竜王位を奪回した。



第31期王位戦7番勝負第7局-VS佐藤康光戦

TANIGAWA

平成2年谷川VS佐藤康光の王位戦7番勝負最終局。当時谷川28歳、佐藤20歳。 しかし下馬評は全くの互角。第6局に追いつかれ”谷川危うし”の声も多かった。

上図以下△95飛▲61飛成り△41歩▲95銀△同香▲89玉△76桂 ▲95馬 △97銀▲77銀△57角▲98歩△88香▲同銀△同銀成り▲同金 △97銀まで谷川勝ち

タダで取れる銀を取らずに△95飛!これで▲61飛成りに対する△41歩が可能となった。 最終手△97銀に▲同歩は△79金、▲78玉は△68金以下の寄り。しかしこ こで投げた佐藤も素晴らしい。本当に美しい投了図となった。 最後にこの将棋を現地で観戦した米長邦雄永世棋聖の感想を伝えておこう。

”△95飛。なんという素晴らしい一着。これには驚いた。こんなに驚く手を見た のは本当に久しぶりである・・・最後の△97銀がまたなんという一着か。振り返 ってみると、本局は佐藤君としても十分に自分の将棋が指せたはずである。しかし、 終盤の20手程は谷川王位に何かが乗り移ったとしか思えない。それほどの棋神に も勝る指しっぷりであった。”