将棋の館−盤上のドラマ−/棋界エピソード集/神様がイビアナに潜った日

神様がイビアナに潜った日


 その日の対局室は異様な雰囲気につつまれていた。(だろう、たぶん・・・(笑)
 加藤王将vs大山十五世名人の第29期王将戦第5局前日、盤・駒の検分の時のことだった。
 当時加藤は将棋連盟の盤・駒が気に入っていた。同行したスタッフの中に、このことを知っている
人間がいて、気を利かしたつもりで東京から連盟の盤・駒を持ってきてしまった。
 当然加藤は第5局に、連盟から持参の盤・駒を使用したいと主張した。
 これを聞いた大山は激怒した。
 ”地元の顔を立てなさい!東京から盤・駒を持ってくるなど、もってのほか!”
 当時大山は連盟会長。将棋の普及のため、地方でのタイトル戦開催などには、人知れず骨を折っていた
ことだろう。
 結局立会人の仲裁で、初日は地元の盤・駒を、二日目は連盟の盤・駒を使うことで決着がついた。
 ところで翌日の対局、加藤が用いた作戦は”居飛車穴熊”。生涯初の経験で、大山に快勝!
 なお、続く第6局も加藤はイビアナを採用。しかし、今度は大山が勝って王将位奪取。
 50代半ばを過ぎてのタイトル獲得となった。
 ちなみに私はこの時以降、加藤がイビアナを採用したことを知らない。





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